キャンプギア

【製造の現場目線からキャンプギア を解説】人気のローバーチェアタイプ フォールディングチェアの注目点

パカっと開いてすぐ座れるフォールディングチェアは、とても便利です。特にローバーチェアは人気で様々な同タイプの製品が出ています。

多くの商品が出てくることは、キャンパーにとっては嬉しい話であると同時に、どれを買えばいいのかわからなくなり、悩みに繋がることもあるかと思います。

この記事では、一般消費者の目線ではなく、あえて「製造業の目線」から、この世の中に出回っているキャンプギアの特徴や差別化しているポイント。メリットやデメリットについて解説させて頂きます。

どうしてこのような形をしているのか。どうしてこの素材を使っているのか。製造難易度がどれくらいあるものなのか。そういった物づくりを行う視点で観察した時に気付ける特徴や違いから、自分のお好みの製品探しに役立つことがたくさんあるかと思います。

皆様のキャンプギア探しにお役に立つことができれば幸いです。

本家のローバーチェアは頑丈さを重視した設計

https://www.handhsurplus.co.uk/

イギリス軍の軍用車両備品として使用されていた、通称ローバーチェア。特徴としては以下が挙げられます。

  • 折り畳み可能
  • 座り心地が良い
  • 頑丈
  • 見た目が無骨

元々は、軍用製品であるため粗雑に扱っても壊れない頑丈さが売りのため、キャンプの現場にはうってつけです。ただし、デメリットとしてはアルミ製とはいえ少し重たいのが特徴です。チェアに限らずどの製品にも言える事ですが、

  • 頑丈にしようとすると重くなる
  • 折り畳みなどの際の動きが多くなると壊れやすくなる

この2点をどう回避するかが各製品の設計思想の違いになります。本家ローバーチェアでは、金属部分に重めの素材を使うとともに、座面背面もキャンパス地にする事で頑丈さ重視しています。裏を返せば、頑丈さという特徴を生み出すために、軽さという特徴を犠牲にしたといえるでしょう。軍用車両の備品ですから、車で移動する前提の使用条件の中では、理にかなっているといえます。

軽さと強度を兼ね備える方法

https://www.captainstag.net/ 【CAPTAINSTAG】

現在のキャンプ向けのフォールディングチェア製品の大多数はアルミパイプで出来ており、とても軽くなっています。しかしアルミですと強度不足の箇所がどうしても出てしまいます。そこで

  • 力のかかる部分の材質を変える
  • 稼働部分やヒンジ(ピポット)に工夫をする

といった解決策がとられています。力のかかる箇所だけを鉄やステンレス、チタンなどの強い材質にして強度を補っています。一部だけ塗装が違うのは、材質が違うからです。

可動部分でもヒンジ(ピポット)は特に壊れやすい箇所なので、製品による違いがあり、おもに

の固定方法があります。リベット(カシメ)は価格が安い反面、故障の際には交換ができませんが、ネジやビスの場合は故障の際でも修理や改造が可能です。折りたたみ機構では、可動部分が1箇所でも壊れると座れなくなりますから、ハードに使う方、長期間使う方は分解、修理が可能かをポイントにしてはいかがでしょうか。

背もたれには各製品の工夫あり

https://www.coleman.co.jp/ 【Coleman】

背もたれの部分の上部には、製品によって横棒があるものがあります。当たり前の事ですが、背中に当たります。本家ローバーチェアにはありませんから、ゆったり仰向け気味に座れますが、残念ながらチェア全体の捻れの力に対しては弱く、結果的にヒンジの軸(ピポット)やカシメの部分が緩む原因になったりします。製品としてトラブルを防ぐためには、ここの横棒は大事な部分です。

そこで、頭の方向に曲げたり、緩衝材を入れたり、各製品が色々と工夫しているのが分かります。価格を抑えた製品では、あえて何もしないという物もありますが、その場合でも座る人が、前かがみに座る(焚き火の世話をする、釣りをするなど)事が多ければ特に問題ありません。使用に応じて選択すべきでしょう。

もちろん、通常使用の範囲内では、すぐ壊れるものでもないので、扱いに気をつけてここに棒の無い製品を選択しても構わないと思います。

https://www.dod.camp/ 【DOD】

さいごに

現在、フォールディングチェアはロータイプのものが主流で、色も形も様々です。製品製造は、100%お客様の要求を満たすものは作れませんので、色々なアプローチがあります。座り心地だけでなく、耐久性や機構なども参考にして、ギアを選んでみてはいかがでしょうか。

三輪賢司

三輪賢司
永幡工業株式会社:代表取締役 / campBOX :キャンプギアアドバイザー
1975年東京生まれ。千葉大学文学部にて心理学を専攻。大学卒業後は大手IT企業に就職。様々な分野で経験を積み、2000年より家業である東京大田区の町工場:永幡工業株式会社の代表取締役に就任。設計、製造に携わる。ディスプレイ製品・舞台大小道具・建築金物・什器など様々な製品を開発。金属のみならず他素材を扱う経験も多数。屋外現場作業もアウトドアであるとの理念の下、自らの知識を活かし、campBOXにてキャンプギアアドバイザーを兼務。製造の視点からのキャンプ製品評価・アドバイス・コンサルティングに従事する。